東京近郊名所図会

氷川神社  氷川神社は西方の丘上に在り。入口に石の鳥居を建つ。天保十三年壬寅九月氏子中と刻す。傍に警視庁の制札あり。進めば断崖より二条の懸泉灑ぐ。 瀑壷は石を以て畳み、草亭の設けもあれば、夏日は来り浴するを得べし。石路十階を登れば、一対の石獅を置き、赤色の鳥居を建つ。神木の老松空に聳ゆ。  太さ三囲。更に北に登ること三十階、神楽堂あり。正面は社殿にて茅葺素木造りなり。 氷川神社の金字額を掲ぐ。明治十三年十二月参議伊藤博文書とあり。 小祠二字を認む。社後は杉林枝を交ゆ。東に廻りて下れば、戦死者松沢梅吉の碑あり。岡見正哲の撰文にて明治三十九年九月建る所に係る。当社鎮座の年代詳か ならず。祭典は毎年正月十五日にて、傭射講といふことを執行し、神楽を奏するよし。

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